研究課題/領域番号 |
09045074
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
吉川 堯 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (80050467)
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研究分担者 |
小山田 隆 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (80050665)
川村 清市 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (60050530)
椿 志郎 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (70050507)
吉川 博康 北里大学, 獣医畜産学部, 助教授 (70101516)
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キーワード | 心筋症 / セレニュウム欠乏 / グルタチオンペルオキシダーゼ / セロイド・リポフスチン沈着症 / 克山病 / 病理学 / シカ |
研究概要 |
中国東北部で多発している原因不明のシカの地方病性心筋症の病理学的特徴は、心筋におけるミトコンドリア膜の障害を基本病変として展開される心筋線維の壊死性変化で、当地域で発生している克山病に酷似していることを明らかにしてきた。そして原因学的にセレニュウム・ビタミンEの欠乏が重要な因子であることを考察してきた。さらに本疾患の肝臓には共通して重度のセロイド・リポイド沈着症(Ceroid-lipoidosis)およびTリンパ球の減退が指摘された。本症の病理発生に対しては、セレニュウム関連酵素であるグルタチオンペルオキシダーゼ(GSH-Px)の減少による生体膜の脂質過酸化障害が重要視された。研究最終年度において、ラットを用いてセレニュウムあるいはセレニュウム・ビタミンE欠乏状態を実験的に作出し、肝臓病変の病理発生と肝細胞質内酵素の動態について検討を加えた。その結果、血清セレニュウム・ビタミンE値の低下、肝臓内セレニュウム濃度の低下および過酸化脂質量の増加、グルタチオンペルオキシダーゼの低下ならびに抗酸化剤であるカタラーゼの増加が認められた。さらにクッパ-細胞にミトコンドリアの変性およびセロイド・リポフスチンの沈着が見出された。実験ラットで観察された生化学的所見ならびに肝細胞変性は、シカにおける肝臓病変と酷似しているとみなされた。3年間に亘る研究の最終年度に当たり、中国側研究代表者王水琴教授を招聘し総合討議を行い研究成果を纏めた。なお、王水琴教授からはセレニュウムの飼料内添加によって本疾患の発生が激減しているとの説明がなされた。
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