研究課題
国際学術研究
本研究は、歯質に対して優れた接着性を有すると共に、ウ蝕患部細菌を完全に殺菌する抗菌剤や修復後の再発を防止するためのフッ化物などを添加した接着性修復材を開発する。これらはウ蝕歯の修復に際して、歯質の削除量を最小限におさえ、歯髄組織への侵襲を極力少なくすることができる。なお、露出歯髄に対しては、生体親和性の優れたα-TCPを用いたり、各種の糖タンパクやグロースファクターの応用により歯髄の生理活性を高め、病巣無菌化組織修復処置法のためのウ蝕治療の生物学的アプローチにより、新しい修復法の確立を目的とする。本年度は、まずはじめに、新潟大学において、混合抗菌剤を添加した光硬化型グラスアイオノマーセメントの抗菌性と材料学的性質について検討を加えた。また、X線マイクロアナライザーを用いて、ウ蝕象牙質の微細構造学的検討や、レジンボンディング材と象牙質との接着界面の微細構造学についての研究を行った。さらに、覆髄処置における修復象牙質形成における各種成長因子及び細胞外基質(糖タンパク、プロテオグリカンなど)の局在を免疫組織学的に観察した。一方、カリフォルニア大学サンフランシスコ校では、フッ素徐放性接着性修復材料の研究、及び断層X線顕微鏡(XTM)あるいは原子力間顕微鏡(AFM)を用いたウ蝕象牙質面の微細構造学的観察を行った。以上の研究結果をもとに、修復材料の歯髄組織細胞の活性に及ぼす影響についての研究を発展させるための打ち合わせを両校において行い、Prof.S.J.MarshallとProf.G.W.Marshallによる歯髄細胞に生理活性を持つ機能性接着修復材料についてのセミナーを新潟大学において行った。
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