研究課題
国際学術研究
タイ国におけるAIDSに合併した呼吸器感染症治療法と予防対策の研究タイ国を含む東南アジア地域では主要な死因の一つとして肺炎を初めとした急性呼吸器感染症があげられる。既に我々は平成8年度の「タイ国における急性呼吸器感染症治療法の研究」において、中等症以上の肺炎に対しペニシリンGとシプロフロキサシンの併用治療が有用であることを報告したが、近年タイ国においては多数のHIV感染者が存在し、AIDSに合併した呼吸器感染症が急増している。これらAIDS患者の呼吸器感染症の原因病原体は十分な検索が行われていないのが現状であり、治療成績も良好なものではない。そこで今回我々はHIV感染者に合併した肺炎症例において、適切な検査を施行し、かつ原因病原体を明確にすることで適切な抗菌化学療法を確立し、AIDS患者の予後を改善することを目的として以下の検討を行った。1997年4月よりチェンマイの第一線病院であるナコンピン病院において入院治療を行ったHIV感染者に合併した肺炎症例について、胸部X線写真、喀痰検査(一般細菌、抗酸菌等)、血液培養、血液生化学検査を行い、臨床症状とともに経過を観察した。細菌学的検査はチェンマイ大学附属病院中央検査部にて行い、起炎菌の薬剤感受性(MIC)は長崎大学熱帯医学研究所において施行した。現在までに20数例の症例が検討されているが、今後症例を重ねてHIV感染者に合併した肺炎の病態を明らかにしていく予定である。