研究概要 |
日中両国で一般地域住民に対して、食生活を含む生活習慣関連項目を含む詳細な面接聞き取り調査,及び内科診察、血圧測定,尿,血液検査などからなる健康診断を実施した. 日本においては,胃癌のSMRが異なる2地域O,A(男性のSMRが0.88、1.08,女性のSMRは2地域とも0.96であった)において、上記健康診断をO地域においては4073名、A地域においては748名について実施した. 一方,中国においては、1987-1989年の3ヵ年の胃癌死亡率が異なるH(胃癌死亡率:144.8/100,000),M(胃癌死亡率:105.7/100,000),及びL(胃癌死亡率:36.3/100,000)の3地域において、それぞれ438名,510名,及び795名に対し同項目よりなる健診を実施した. また、日中それぞれの研究地域より胃癌症例の収集を行い、日本においては74例、中国においては125例の胃癌症例の血液サンプルと病理データを収集した。 これらの研究対象集団のうち,日中両国より胃癌死亡率がほぼ等しい(日本:64.7/100,000,中国:71.0/100,000)2地域より859名(4,073名より無作為抽出)、925名(1,100名より採血を行い,一般血液検査,生化学検査後にPG、ガストリン、ヘリコバクターピロリ抗体測定に必要な血清が残っていた健診受診者)に対してPGI、II、血清ガストリン、ヘリコバクターピロリ抗体をすべて測定した。その結果、日本におけるPGI値、及びPGI/II比は、中国のそれに比し有意に低値をとり、逆にPGII値、及び血清ガストリン値は中国のそれに比し有意に高値であった。 一方,日中両国におけるヘリコバクターピロリ抗体陽性率は、性、年齢階級により異なるが、日本においては66.9%であり、中国においては69.2%であった。しかし、日中両国を性・年齢で調整し、Mantel-Haenszel検定を行うと日中両国間でヘリコバクターピロリ抗体陽性率に有意な差は認められなかった。 日中両国の胃癌症例の胃癌関連バイオマーカーに関しては現在解析を進めているところである。
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