研究課題
中国来訪の折、中国の59症例について中国の共同研究者と十分に悪性リンパ腫の新分類と、その予後について討議した。また、中国研究者の訪日の際、日本における症例について検討、南京地方には発症が認められていない成人T細胞リンパ腫については特に詳細な検討を加えた。中国症例では、日本に比べ圧倒的に男性症例が多かった(57:2)。組織型ではBリンパ腫の占める比率が高く、Bリンパ腫においても瀰漫性リンパ腫に比べ濾胞性リンパ腫が極めて少なかった。また、節外性リンパ腫が多いことも特徴であったが、これらの点は中国における経済的、及びその背景も考慮するべきと考えざるを得ない。即ち、患者が病院を訪れる時期には既に悪性リンパ腫がかなり進行し状態にあることや、女性が病院を訪れることが少ないのではないかとの疑問をいだかせた。本年は更に南京大学の新しい症例についての検索、また南京地方以外の症例についても検討ができればと考えている。中国症例についてはHE標本が作製されているのみであり、現在の新しい悪性リンパ腫分類-REAL分類、及び新WHO分類-では分類不可能な症例が含まれていたため、南京大学で検討した症例のパラフィンブロックを借用してきた。これらの症例について種々の免疫組織化学的検索を実施し、リンパ腫分類を試みると共にEBウイルスの関与の有無についても検索した。当大学の症例と比較した結果について第1回血液病理研究会(1998年1月、福岡)で発表、さらに中国症例の特徴について第38回日本リンパ網内系学会(1998年5月、熊本)、EBウイルスとの関連性について日中合同分子病理学会議(1998年8月、敦煌)での発表を予定している。また、更に症例を増やし、その結果についての執筆も予定している。
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