研究課題/領域番号 |
09101002
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研究機関 | (財)東京都臨床医学総合研究所 |
研究代表者 |
矢原 一郎 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 細胞生物, 副所長 (60109957)
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研究分担者 |
松本 清治 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 細胞生物, 研究員 (40190532)
森山 賢治 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 細胞生物, 研究員 (00250217)
藍澤 広行 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 細胞生物, 研究員 (90221704)
飯田 和子 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 細胞生物, 研究員 (40151229)
阿部 洋志 千葉大学, 理, 助教授 (00222662)
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キーワード | アクチン / コフィリン / AIP 1 / 細胞運動 / 収縮 / 高浸透圧ストレス / GFP / アクチン調節蛋白質 |
研究概要 |
1) ゲルゾリンで+端をキャップしたピレン・アクチン繊維をコフィリンで処理し、蛍光が平衡に達したとき、ビタミンD結合蛋白質によって脱重合を開始させ、コフィリンの切断と-端からの脱重合を同時に観察する系を確立した。その結果、コフィリンはアクチン繊維の切断と脱重合の促進を同時に行うことを確認した。アクチン繊維の切断と脱重合促進は別の活性であり、片方のみを失った突然変異体をいくつか得た。これらのコフィリンを酵母のコフィリン欠損株に発現させたところ、切断作用を失った変異体は酵母のコフィリン欠損を補いにくいことがわかった。 2) 出芽酵母のコフィリン温度感受性変異を抑制する蛋白質Aiplを、酵母、細胞性粘菌、アフリカツメガエル、培養動物細胞より単離し、Aiplがアクチン繊維の切断を促進することを明らかにした。細胞性粘菌においては、運動部位において、アクチン、コフィリン、Aiplの3者が同じ部位に局在することを示した。 3) アフリカツメガエル未受精卵ではコフィリンはリン酸化された不活性型であるが、受精にともない脱リン酸化される。細胞周期の進行とコフィリンの脱リン酸化の関係を調べたところ、分裂前期のアクチン繊維の崩壊が起きるとき、および終期の収縮環が形成される時期に、脱リン酸化がもっとも進むことを見いだした。一方、受精卵にリン酸化部位のセリンをアラニンに変化させた変異体を注入すると、卵割が停止した。一方、グルタミン酸に置換した変異体や、野生型では卵割の停止は認められなかった。この、結果はコフィリンは脱リン酸化による活性化の他に、リン酸化による不活性化も卵割に必要であることを示唆している。 4) 細胞性粘菌にコフィリンを過剰発現させると、アクチン繊維の束形成が促進され、この束は高浸透圧ストレスに応答して収縮することを明らかにした。
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