研究課題/領域番号 |
09102009
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松波 弘之 京都大学, 工学研究科, 教授 (50026035)
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研究分担者 |
木本 恒暢 京都大学, 工学研究科, 助教授 (80225078)
冬木 隆 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (10165459)
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キーワード | シリコンカーバイド / pn接合ダイオード / パワーデバイス / MOSFET / イオン注入 / 熱酸化 |
研究概要 |
本研究では、高純度SiCエピタキシャル結晶を用いた高性能SiCダイオードとMOS型SiCパワーデバイスの作製を行った。以下に本年度に得られた主な成果をまとめる。 1.高性能SiCダイオードの作製 (1)エピタキシャル成長により形成したメサ形pn接合ダイオードを作製し、耐圧4200V、オン抵抗4.4mΩcm^2という非常に優れた特性を得た。ターンオフ時間も0.3μsと速い。この特性は実用化されている同耐圧のSiのpinダイオードと比べて、オン抵抗、スイッチング速度共に約1桁優れている。 (2)n型SiCにAl、BをMeV級の高エネルギーでイオン注入することによって、深さ3〜4μmのpn接合を形成した。イオン注入後に高温アニールを施すことによって、理論値に近い高耐圧(2500〜3000V)と小さい漏れ電流(-1000V印加時で10^<-8>A/cm^2)を達成した。 (3)高耐圧SiCダイオードの特性と結晶欠陥の相関を調べ、マイクロパイプと呼ばれる大型のらせん転位を含むダイオードは著しく耐圧が低下することが分かった。しかし、通常のらせん転位や刃状転位が複数個存在してもダイオード特性に大きな悪影響を与えないことも判明した。 2.MOS型SiCパワーデバイスの作製 (1)熱酸化膜をゲート絶縁膜として用いた反転型SiC MOSFETを3種類のSiCポリタイプで作製し、(0001)面を用いる場合は15R-SiCが最も高いチャネル移動度(59cm^2/Vs)を示すことを明らかにした。 (2)従来の(0001)面ではなく、(1120^^-)面を用いることで、どのSiCポリタイプでも大幅なチャネル移動度の向上が実現できることを見出した。特に、最もデバイス応用が期待される4H-SiCでは、(1120^^-)面を用いることにより、約17倍のチャネル移動度の改善(5.5→97cm^2/Vs)を達成した。 (3)SiC(0001)および(1120^^-)面のMOS界面特性を容量-電圧法、コンダクタンス法で調べ、(1120^^-)面の場合は導電帯近傍の界面準位密度が低いことを明らかにした。
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