研究概要 |
中期インド・アリアン語の古文献(仏教とジャイナ教等)は現代文明の重要な源流の一つでありながら,殆どの文献は死蔵された状態になっている。この言語の研究を飛躍的に進展させるためには,聖典の計算機解析が有効であると考えられている。 我々は前年度までにジャイナ教聖典の解析ツール(韻律解析,単語の正順索引・逆順索引と詩脚の正順索引・逆順索引作成,文法解析)及び仏教聖典の同種の解析ツールを開発した。 これまで初期仏教文献の重要な原典テキストは,世界での仏教研究の中心的な機関の一つであるパーリ文献協会(PTS,オックスフォード)より計画的に発行され、研究者に多大の便宜を供してきた。しかしながら、これらの原典テキストには語彙索引が殆ど付されていないのが現実であり、付されている場合でも不完全で誤りが多く、完全な語彙索引が研究者に切望されている。我々は、全3冊からなる「ディーガ・ニカーヤ」の完全な語彙索引をPTSから出版した。重要なテキストTheragathaとTherigathaの詩脚の正順と逆順索引を出版した。 又、従来の研究成果・作成したテキスト・電子ブック等のデータをホーム頁にて公開した。特に電子ブックに掲載の韻律解析結果は非常に重要なものであり、研究の成果・手法等のすべてを公開したことと同じあるが、当該分野の研究推進のために敢えて公表した。 これらの研究過程で得られた、重要な知見を2つの論文、「インターネットとパーリテキストの活用」と「PTS版テキストの限界-『ディーガ・ニカーヤ』を中心に-」にまとめた。 これらの研究は,中期インド・アリアン語の古文献の研究を進展させるものとして期待されている。
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