・研究の目的 手話単語は基本的に手の形、手の位置、掌の向き、手の動きという4つのパラメータで構成されている。さらに、このパラメータの変更により手話単語の意味を変更するという手話独特の造語法を持っている。本研究課題は、動作の類似性を画像情報の比較ではなく、手指動作記述文間の類似度を計算することで、手話単語間の類似関係を明らかにし、特に、一つのパラメータのみが異なる最小対に着目し、動作の類似性と意味との関係について解明を行なう。 ・研究方法 手話辞書に記載の手指動作記述文を形態素解析して単語単位に分割を行い、類似度を計算し、同値類に分割した動作特徴に基づく体系化(階層化)辞書を作成する。次に、同値類としてクラスタリング内の単語に対する動作の差を手指動作記述文との比較により、明らかにし、意味との関係を考察する。 ・研究成果 動作の類似した単語群内に動作特徴のあるパラメータを変更することで類似の概念(意味)を内包してるペアと意味の類似性の見られないものに分離でき、かつ、階層化が可能なことが明らかになった。この成果は、今後新たな手話単語を造語する際に有効な知見を与えるものと考える。この成果は、近くインターネット上から容易に検索できるように整備し、公開する予定である。 ・今後の展開 今後は、他の手話言語、例えば、アメリカ手話の手話単語と日本手話の手話単語間での意味と動作の類似性と相違性について本計算手法を拡張して、比較実験を行なう予定である。これらにより、異言語間の手話単語の動作の類似関係と意味との関係が明らかになると考える。
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