研究概要 |
本研究では、平安和歌語彙としての歌語の問題を考究する一手段として、総語彙を網羅出来る総索引形式の和歌データベースの作成と活用を目指し、次のような成果を得た。 1 : 平安中期の特殊歌語の宝庫である『古今和歌六帖』(柱宮本・歌数4,494首)を総索引形式でデータベース化した。次に語彙を出現頻度数でソ-トして、頻度数の少ない特殊語彙とそうでない語彙を分別し、最も特殊な語彙として出現頻度数1の語彙2295語を得て、語彙の実態が、万葉語、古歌や伝承歌の用語、古今・後撰の一度語や先行歌人の特異用語、歌謡での用語など、様々な位相の語彙の集合体であることを明らかにした。さらに出現頻度数1の語彙の、同時代私家集における使用数の分布を調べ、六帖語彙が、新しい歌語として、同時代歌人に受容されたかを、具体的にあとづけ、受容した歌人層に偏りがあること、受容の実態によると、『古今和歌六帖』の成立年は、従来説を更に遡る可能性が高いこと、などを述べた。 2 : 平安和歌集の総索形式化とそのデータ公開の試みとして、『相模集』KWIC索引データベースをHTMLにより作成し、WWWで公開できるような形にした。また、このデータベースをCD‐ROMにしたものを総括班より配布する予定である。
|