研究概要 |
本研究の目的は,(1)国内外の文化における「間」のデータを集め,文字情報,映像・音響情報による「間」の資料を提供して研究の便宜をはかること,(2)それらの資料に基づいて物理測定と心理実験を行い,そこで得た物理的ならびに感性的な数値データを提供して,人間の生活場面における快適な「間」の設計に貢献することである。以上の目的のために,「間」のマルチメディアデータベース作成の構想をたてた。 これまでに,種々の文献,音響メディア,映像メディア等から次の項目についてデータを集めてきた。(a)「間」の定義,(b)「間」の歴史,(c)生活における「間」,(d)スピーチにおける「間」,(e)音楽における「間」,(f)スポーツにおける「間」,(g)舞踊における「間」,(h)演劇における「間」,(i)落語における「間」,(j)書画・映像における「間」,(k)建築における「間」,(l)「間」の科学的データ。 その過程において,「丁度よい間の長さ」の法則性,「間」と呼吸の関係,「間」と精神テンポの関係などを見出してきた。今年度は(1)スピーチにおける「間」の長さと内容の関係,(2)スピーチにおける「間」の長さの時代変化,(3)スピーチにおける「間」の長さの個人差,について検討を加えるために,年代の異なる複数のプロの朗読者の「間」の長さを測定し,分析した。また,心理実験を行い,スピーチのテンポと「間」の長さの関係について,ならびに,「間」の長さによる聴取印象の違いについて調べた。
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