研究課題
諸外国と並んで日本においても、家族に関する総合的なデータを整え、それを研究者が共同利用できる形で供給していくことが強く求められている。このような認識のもとに、本研究は、利用可能な米国での類似調査の個票レベルのデータを、日本との比較の視点において独自の集計分析を試みるとともに、予備的な調査を実施して、日本における全国規模の家族と世帯に関する総合的学術調査を実施する際の問題点を整理し、調査デザイン、調査項目について検討を深め、その速やかな実現を目指そうとするものである。あわせて、データセットのメインテナンスの、共同利用のためのシステムづくりについて検討を進めることも目的となっている。本年度は、昨年度に組織された分析班のメンバーを中心として、新たな研究協力者も募りながら、家族研究データの中でも最も先端的な試みとして知られている、米国のNational Survey of Families and Households(NSFH調査)の公開データのうち、昨年度の分析対象であった第一次調査データだけでなく、第二次調査データも含んだパネルデータとしての分析を主たる目的として、解析する作業に取り組んだ。その結果、パネルデータとしてのデータ処理の技術的および技法的な難しさについて知識を深めるとともに、日本との比較の観点から、各メンバーの独自のテーマにもとづいて分析を進め、年度末には、ワーキングペ-パ-を取りまとめた報告書を作成し配布できることになった。他方、計画中の日本の家族に関する全国的総合調査へ向けて、日本家族社会学会の全国家族調査委員会と連携して、調査項目インベントリ-の作成作業を進め、年度末までには配布できることになった。更に、予備的調査として昨年度企画・実施された、「夫婦関係と家族に関する調査」については、分析班を別個に組織し、国際比較を含めた個別の分析を進めているところである。