研究課題/領域番号 |
09207102
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小嶋 祥三 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70027499)
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研究分担者 |
山本 淳一 筑波大学, 心身障害学系, 助教授 (60202389)
辰巳 格 東京都老人総合研究所, 室長 (40073027)
杉下 守弘 東京大学, 医学系研究科, 教授 (10114513)
川島 隆太 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (90250828)
長崎 勤 筑波大学, 心身障害学系, 助教授 (80172518)
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キーワード | 発達障害 / 行動改善プログラム / 他者意図理解 / ポジトロンCT / 機能的MRI / 認知機能 / 言語機能 |
研究概要 |
重度の自閉症児の家庭にコンピュータを設置し、成績に応じた段階的な訓練プログラムを提供して、平仮名の聞き取りの理解の成立を検討した。その結果、家庭内での訓練は効果を発揮し、理解が成立することが分かった。また、ダウン症児におけるコミュニケーションの成立・発達を理解するために、かれらの他者の心的状態の理解の発達を健常児のそれと比較した。2、3歳児と母親との相互作用場面を設定し、そこでみられた心的状態についての発話を<欲求-叙述>と<自己-他者〉の2軸で分析した。健常児においては、2歳児では自己の欲求に関する発話が大部分であったが、他者の欲求への言及も始まっていた。3歳代では自己の感覚・感情への言及が増え、他者の感情、注意喚起が増加し、他者思考の出現が認められた。ダウン症児も類似した経過を辿ったが、他者思考は見られないのが特徴的だった。 語想起の能力は加齢によって低下する。高齢健常者を対象に、固有名詞、人工物名の想起課題と、音韻課題を実施中の脳の活動をポジトロンCTで検討した。その結果、若齢者で見られた固有名詞想起に関わる左側頭葉前部の活動、人工物名想起に関わる左前頭葉下部の活動が見られなかった。これらの機能低下が語想起の低下に関係すると思われる。また、言語優位半球を機能的MRIを用いて非侵襲的に決定する方法を確立した。「しりとり」課題の採用と実施法の検討した。左利き6名に適用した結果、2名が左半球優位、1名が右半球優位、3名が両半球に活性化が見られた。また、ポジトロンCTを用いて、他者の評価を処理する脳の系を健常者で検討した。その結果、人物評価には左下前頭回、左上前頭回内側、左島前部が関係することが分かった。左下前頭回は作業記憶に関係すると思われる。後二者については今後さらに検討が必要である。 左右反転プリズムへの順応に伴う同側視覚野の活動の変化について機能的MRIを用いて検討した。通常、一次視覚野は対側視野の刺激に応答するが、プリズム装着4日後から同側視野の刺激に応答する可塑性をみいだした。また、オノマトペが物体の実際の音とその物体の名称を橋渡しする可能性をポジトロンCTの研究により見いだしたので、音を理解するが、名称を理解できないチンパンジーにオノマトペによる命名を訓練し、成功させた。
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