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2000 年度 実績報告書

心の発達:言語発達

研究課題

研究課題/領域番号 09207106
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

大津 由紀雄  慶應義塾大学, 言語文化研究所, 教授 (80100410)

研究分担者 西垣内 泰介  神戸松蔭女子学院大学, 文学部, 教授 (40164545)
内田 伸子  お茶の水女子大学, 教育学部, 教授 (70017630)
今西 典子  東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (70111739)
日比谷 潤子  慶應義塾大学, 国際センター, 助教授 (70199016)
今泉 敏  東京大学, 医学部, 助教授 (80122018)
キーワード言語獲得 / 文法の発達 / 談話の発達 / 音声の発達 / インターフェイス / 言語処理 / 喃語 / 成熟
研究概要

本年度はこれまでの研究のとりまとめを中心に作業をした。大津は文法獲得理論について、これまで知り得た知見を整理した。とくに、生得的機構と経験の相互作用の明確化に重点を置いた。今西は言語獲得理論の構築に関する基礎的な研究を継続して行い,普遍文法の内部構築に関する問題、言語処理機構と言語獲得機構との相互関係等について様々な知見を得た.内田は「説明における推論方略の発達」日常現象を説明するときにどのような推論方略を用いてるかを明らかにするため、3・4・5歳児小2・小4・小6と大学生を対象に日常現象を説明するときに、カテゴリーの包含・階層関係に基づいた自発的な代替例の検索をする推論方略の発達過程を探り、科学的概念の習得と推論方略の関係について検討した。
西垣内は日本語習得中の幼児の量化表現についての解釈をテーマに研究を行った。特に幼児のWH構文の理解について,先行の理論的研究を参考にしながらいくつかのパイロット実験を行った。その結果,幼児の関与する文の理解にはペア・リストの解釈が支配的であることが確認された。伊藤は文字を獲得する前の幼児の韻律単位(モーラと音節)に視点をあて、その発達過程を検討した。その結果、文字を獲得する前の幼児において既にモーラと音節がともに心理的に実在していることが明らかになった。佐野は日本語を話す幼児が受身文、非能格文をどのように解釈するかを実験により観察した。両者の発達の比較により、日本語の受身文獲得の遅れはA-chainの成熟ではなく、受身接辞を介した意味役割転送の発達の遅れによるものであるとの仮説を提案した。正高はウイリアムズ症候群の幼児の言語習得過程を中心に一般的認知能力と言語特異的能力の関係を検討した今泉は文法処理に関わる機能語の脳内処理過程を脳機能画像法を用いて解析した。視覚的に呈示した漢字3文字を機能語を補って日本語文として読む課題と機能語を補わずに音読する場合の脳活動の比較によって、文法処理に対する運動前野や捕捉運動野の関与が示唆された。日比谷は昨年度に引き続き、19世紀末から20世紀初頭にかけてカナダに移住した日本人が、ホスト社会の言語(英語)から母語(日本語)に単語を借用した時に、どのような現象が起こったかを分析した。特に無声軟口蓋破裂音と無声硬口蓋歯茎摩擦音の直後に挿入される母音のゆれについて、多角的に検討した。中は本年度は、動詞の初期発達状況のうち、自動詞を非体格自動詞と非能格自動詞に分類し、それらの習得状況を3人のこどもについて分析した。その結果、2人についてはより構造が単純な非能格自動詞がより復雑な非体格自動詞の発達に先行するという結果が出たが、関連する親の言語インプットその他の影響を調査継続中である。

  • 研究成果

    (20件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (20件)

  • [文献書誌] Yukio Otsu: ""Scrambling, indirect passives, and wanna contrction.""Behavioral and Brain Sciences. 23. 45-46 (2000)

  • [文献書誌] Yukio Otsu: ""A preliminary report on the independence of sentence grammar and pragmatic knowledge : the case of the Japanese passive : a development perspective.""Keio Studies in Theoretical Linguistics. 161-170 (2000)

  • [文献書誌] 今西典子: "「文の左端・右端に係わる言語事象の統語特性」"現代の英文法4:文1研究社. 381-486 (2000)

  • [文献書誌] 内田伸子: "発達研究における因果関係特定的研究への方途-高橋(1997)論文へのコメント"発達心理学研究. 10(3). 231-233 (2000)

  • [文献書誌] 大宮明子,内田伸子: "子どもの推論枠組みの発達"日本教育心理学会第42回総会発表論文集. 649-649 (2000)

  • [文献書誌] 内田伸子: "遊んでいるときの子どものことば-想像力の萌芽-"日本語学. 19(1). 43-53 (2000)

  • [文献書誌] Nishigauchi Taisuke: "Sluicing with LF Pied-Piping"Theoretical and Applied Linguistics at Kobe Shoin. 3. 83-92 (2000)

  • [文献書誌] 西垣内泰介: "スクランブリングとLF再構成"日本言語学会121回大会シンポジウムにおける研究発表. (印刷中). (2000)

  • [文献書誌] 伊藤友彦: "音声言語の発達とその障害.久保田競(編)"ことばの障害と脳のはたらき.ミネルヴァ書房. 125-173 (2000)

  • [文献書誌] 伊藤友彦: "幼児期における韻律単位-シラビーム方言とモーラ方言の比較-"特定領域研究(A)「心の発達」平成12年度研究成果報告書. 193-199 (2000)

  • [文献書誌] Sano,T.,M.Endo,and K.Yamakoshi: ""Developmental Issues in the Acquisition of Japanese Unaccusatives and Passives,"Spanish,""To appear in the Proceedings of the 25th Boston University Conference on Language Development, Cascadilla Press.. (印刷中). (2001)

  • [文献書誌] 梶川祥世,正高信男: "乳児における歌にふくまれて語彙パターンの短期保持"認知科学. 7. 131-138 (2000)

  • [文献書誌] N.Masataka: "Working memory and sentence comprehension in children with Williams syndrome"Cognitive Studies. 8(3月刊). 25-36 (2000)

  • [文献書誌] K.Ejiri & N.Masataka: "Co-occurrence of preverbal vocal bahevior and motor action in early infancy"Developmental Science. 4. 40-48 (2000)

  • [文献書誌] 今泉敏,為川雄二,出口利定,伊藤秀美: "構音評価における音響分析の意義"音声言語医学. 41(2). 147-153 (2000)

  • [文献書誌] Satoshi Imaizumi,Y.Tamekawa,T.Deguchi,K.Mori: "Cortical plasticity during second language acquisition"In Proceeding of International Conference on Development of Mind. 31-36 (2000)

  • [文献書誌] 日比谷潤子: "英語からの語彙借用-日系カナダ人一世の事例研究-"社会言語科学. 第3巻・1号. 17-23 (2000)

  • [文献書誌] Yasuhiro Shiral,Susanne Miyata,Norio Naka and Yoshiko Sakazaki: "The Acquisition of Causative Morphology : Why Does It correlate with the Imperative?"The Proceedings of the Thirtieth Annual Child Language Research Forum. Edited by Eve Clark. 30. 87-94 (2000)

  • [文献書誌] 内田伸子: "どうしました?-知育の相談100-"講談社. 233 (2000)

  • [文献書誌] 内田伸子 日本児童研究所(共編著): "児童心理学の進歩2000年版"金子書房. 327 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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