研究概要 |
認知面での発達に遅れや偏りをもつ児童の指導において,音声や視覚的効果が高く,また,手続きを正確に繰り返すことのできるCAI教材は利点が多く,筆者らは多数のCAI教材を言語学習,数概念や算数の学習,作業学習などの領域で開発・利用してきた。特に,精神遅滞や学習障害をもつ児童に対し,心理検査や日常の行動観察によるアセスメントを行い,対象児の適性に応じたCAI教材を開発し,週1回の個別指導の形態で教材を試行し,効果をあげてきた。また近年,家庭でもインターネットの利用が進み,インターネットによる教材の供給が可能となってきた。従来,CAI教材が他の機種では利用できない難点であったが,インターネットを利用すれば特にWWWホームページにした教材ならば,機種によらず利用できるという大きな利点がある。そこで,本研究では,インターネットを利用した教材の供給についてその可能性を探ることとした。 本年度は,ひらがなの読みの入門期学習者を対象として,養護学校の自由時間や家庭で繰り返し利用するドリル教材をHTML言語によるホームページとして開発し,実際に利用してその有効性を検討した。今回の試行で,対象児の認知的な特性を踏まえた読みの初期学習用の教材がホームページの形で作成でき,その教材の効果が期待できそうであることがわかった。さらに,既に述べたように,インターネットではホームページを即時に更新できることが大きな利点であるので,今後家庭からの情報や要望,相談等を電子メールで送ってもらい,それに対し教材利用に関するアドバイスや教材の更新などオンラインならではの良さを活かしたやりとりを行なう研究に向かいたいと考える。
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