聴性脳幹反応(ABR)の難聴乳幼児の早期発見のための臨床応用が広く普及するようになった結果、わが国では0才のうちに難聴児が発見されるようになった。同時に0才のうちに補聴器のフィッティングを行い、超早期教育が行われるようになった。我々はこの難聴乳幼児の早期発見、早期教育に過去20年取り組んできた。その成果は著しく、2才前後での言語獲得がなされ就学後は普通学校に入学し、高等教育を受けるに至る場合も少なくなくなってきた。これらの症例を対象とする乳幼児の喃語や言語に関する研究は極めて少ない。早期発見された難聴乳幼児の始語に至る0から1才の間の発達と音声の変化の関係について、他覚的に明らかにすべく音響分析を行った。 対象:0〜1才の正常乳児3例とABR他の検査で高度難聴の証明された5例 方法:ビデオカメラで、喃語を行動の記録とともに録音し、それをサウンドスペクトルグラフで解析した。 難聴乳幼児と正常乳幼児では、多くの同一の部分と一部の異なる部分のあることがわかった。同一の部分は、ヒトの遺伝子プログラムの設計図に基づいたもので予め脳の発達の過程によるものであろう。異なる部分は、乳幼児ですら、聴覚のフィードバックの学習効果が反映していると予想される。
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