研究課題/領域番号 |
09208101
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小泉 格 北海道大学, 大学院理学研究科, 教授 (20029721)
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研究分担者 |
佐藤 洋一郎 静岡大学, 農学部, 助教授 (20145113)
多田 隆治 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (30143366)
安田 喜憲 国際日本文化研究センター研究部, 教授 (50093828)
南川 雅男 北海道大学, 大学院地球環境科学研究科, 教授 (10250507)
大場 忠道 北海道大学, 大学院地球環境科学研究科, 教授 (60013588)
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キーワード | 変換関数 / 黒潮・親潮 / 残留コラーゲン / 南西モンスーン / ダンスガードサイクル / 縄文文化 / 陸橋 / 残留遺伝子 |
研究概要 |
小泉は、過去の日本海の表層海水温を数量的に求めるために、日本海の表層堆積物中の珪藻群集を構成する106タクサ(Tanimura,1981)のQモード因子分析を行って選出した4つの因子(群集型)の構成タクサの産出頻度と表層海水温の回帰関係(変換関数)を明らかにした。大場は、東北日本三陸沖の4本の海底コア中の有孔虫殻の酸素同位体比を解析して過去2万年間の黒潮と親潮の消長を復元した。南川は、縄文から歴史時代に至る古人骨の残留コラーゲンに含まれる炭素・窒素の同位体組成を分析した結果、C4型栽培植物である雑穀利用の証拠が発見できなかったことを指摘した。安田は、水月湖の湖底堆積物中の花粉分析から14C年代12,500年前に花粉絶対量が3倍以上となり、スギ属やコナラ属、ミズバショウ属が急増しすることから、夏雨をもたらす南西モンスーンが活発化し、気候が温暖化・湿潤化したを明らかにした。多田は、最終氷期における日本海堆積物中の黄砂含有量粒度が数千年スケールで大きく変動していることを見い出し、ダンスガードサイクルに連動した急激な乾燥ー湿潤気候の繰り返しであるとした。また、それらの変動が海水準上昇に3000年前後先立っていることを指摘した。佐藤は、日本の縄文時代におけるイネ、クス、クリなどの多様性と遺伝的分化の様相を検討して、これらの植物が縄文文化の骨格をなすことを明らかにした。 班全体の1つとして、約2万年前の陸橋問題を取り扱ったが、43万年前に最も寒冷かつ海水準が低く、この時期の寒冷化で南方起源のトウヨウゾウが絶滅し、替って北方系のナウマンゾウが朝鮮海峡を渡って進出してきたことを明らかにした。2つ目に、縄文時代や弥生時代の遺跡から出土したブタやイノシシの残留遺伝子を分離・増幅し、原生動物のデータベースと比較して、分離場所によって遺伝的に差異のあることを明らかにした。
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