研究分担者 |
安田 喜憲 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (50093828)
南川 雅男 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (10250507)
大場 忠道 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (60013588)
佐藤 洋一郎 静岡大学, 農学部, 助教授 (20145113)
多田 隆治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30143366)
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研究概要 |
平成12年度での顕著な研究結果を報告する.南川は骨のδ13Cとδ15Nの分析によって琉球諸島から出土したイノシシは現地産でないとし,東シナ海交易ルートによって縄文時代初期に輸入されたものであり,弥生時代以降には九州や本土において飼育された後に持ち込まれたものであるとした.米田は貝塚遺跡の縄文人は地域的なC3植物と海産物を主なタンパク質源とし,弥生時代にはC3植物に窒素同位体が増加することを見いだした.佐藤は弥生時代のイネは縄文時代に渡来したイネの末裔であり,稲作様式も水田形態をとりながら粗放であったとしたこと.水稲の日本列島への渡来には朝鮮半島経由と中国大陸からの直接渡来の2ルートがあるとした.高宮は沖縄諸島の縄文時代後期〜晩期に主食であった硬骨魚類に代わって弥生〜平安平行期前期にイノシシなどの哺乳類が増加したのは,急激な人口増加とその環境への影響によって生業システムが変化したことによるとした.石黒・松井・本郷は北海道南部と佐渡・伊豆七島の縄文遺跡からニホンイノシシ.琉球諸島の縄文〜弥生時代平行期からリュウキュウイノシシと東アジア系家畜ブタを検出し,ヒトが先史時代にイノシシを島嶼に持ち込んだとした.また,リュウキュウイノシシは大陸の遺存種であるとした.増田・天野はサハリン・沿海州,カムチャッカ半島の大陸ヒグマは道央・道北集団と,南千島(クナシリ島,エトロフ島)のヒグマは道東集団と同じ系列であるとし,最古の道南集団は本州以南のクマを起源であるとした.西本は家畜ブタは縄文時代後期の遺跡出土に含まれており,その起源は前期までさかのぼる可能性があるとした.また,イノシシ形土偶は縄文時代後期以降に制作されたが,シカ形土偶は制作されなかったとした.
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