研究課題
特定領域研究(A)
1.日本列島起源の砕屑物は最終間氷期を通じて1700年毎に増加する周期性を示す。これは夏季の表層海水温度が1700年周期で22〜25℃を変動するが冬季には10℃前後で固定している温暖期を通じて化学的風化作用が増加したことに起因する。2.縄文時代の遺跡から出土した人骨群はC3(イネなど)と海産物を主体とし、内陸の遺跡集団でも少量ながら海産物を利用していたことが分かった。弥生時代にも縄文時代の地域的豊かさが引き継がれており、水田稲作農耕によるC3植物への収斂は認められない。C4植物(ヒエ、アワなど)の潜在的な利用は縄文時代からあったが、弥生時代以降に減少した。3.弥生時代のイネは焼畑などに伴って縄文時代に渡来したイネの末裔であり、水田形態を取りながらも稲作形態は粗放であり、陸稲から水稲への移行は緩慢なプロセスであったことが判明した。すなわち大量の渡来民が水稲と水田稲作の技術を同時に持ってきた状況はなかった。4.日本列島へ渡来した栽培植物(リョクトウやヒョウタン(カンピョウ)など)の経路は朝鮮半島経由、東アジア海経由、南西諸島沿いの3本が考えられてきたが、これにオオムギ、ソバ、アワ、カブ、アズキなどの渡来経路としてサハリン経由または日本海を時計回りに廻る第4のルートが考えられる。5.北海道の遺跡から出土するイノシシ属は縄文・続縄文時代は本州からニホンイノシシが、オホーツク文化時代には大陸からサハリン経由で北方のイノシシ属が持ち込まれた。6.縄文時代晩期から弥生時代の日本では大陸産の家畜ブタはまだ飼われていなかった。
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