研究課題/領域番号 |
09208104
|
研究機関 | 国立科学博物館 |
研究代表者 |
馬場 悠男 国立科学博物館, 人類研究部, 部長 (90049221)
|
研究分担者 |
青木 健一 東京大学, 理学系, 教授 (30150056)
鈴木 隆雄 都老人総合研究所, 疫学部門, 部長 (30154545)
百 幸雄 東北大学, 医学部, 教授 (50000146)
宝来 聰 総合研究大学院大学, 先導科学研, 教授 (40126157)
石田 肇 琉球大学, 医学部, 教授 (70145225)
|
キーワード | 日本人 / 人骨形態 / 遺伝的特徴 / 古人骨DNA / 縄文人 / 渡来系弥生人 / アイヌ / 琉球人 |
研究概要 |
縄文人はどこから来たか 立体顔の縄文人は人骨の形態学的分析では東南アジア人に近いが、縄文人の子孫である立体顔のアイヌは遺伝学的分析では北東アジア人に近い。従って、以下のようなシナリオが提唱できる。縄文人と形態的・遺伝的特徴を共有する大陸の立体顔の後期旧石器時代アジア人の一部は、シベリヤで急速に寒冷適応を遂げたために、形態的には平坦顔の新石器時代および現代北東アジア人に変貌したが、中立的遺伝特徴は変化しなかった。その結果、アイヌは、形態的には大陸の後期旧石器時代人およびその子孫である立体顔の東南アジア人に似ているが、遺伝的には平坦顔の現代北東アジア人に似ていることになる。従って、このシナリオが妥当なら、縄文人は、もともと日本列島およびその周辺に住んでいた可能性が高い。 渡来弥生人はどこから来てどのように日本列島に浸透したか 弥生時代の渡来人の主体が寒冷適応を遂げた平坦顔の北東アジア人であることに異論はないが、日本列島に移住してくる直前の彼らの居住地に関しては、中国あるいは朝鮮半島のどこであるか決定できない。黄河中流域あるいは山東省の人骨の形態分析でも、いくつかの集団が部分的に北部九州山口地方の渡来弥生人集団と類似している。各地の人骨資料の分析から、渡来系弥生人は、弥生時代には日本列島の主要部を占めていたが、周辺部への拡散は古墳時代まで不十分だったことが分かった。数学的モデル解析によると、渡来人集団のサイズは、条件によっては毎年数十人規模でも良いと言える。 アイヌ・琉球人は縄文人の子孫か 形態的および遺伝的な証拠から、アイヌが縄文人の子孫であることは全く疑問がない。琉球人は、遺伝的データでは、アイヌほどではないが縄文人の影響が強いと言えるが、形態的データでは、本土日本人と似ているとも考えられ、結論が出ていない。
|