研究課題/領域番号 |
09208106
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研究機関 | 国際日本文化研究センター |
研究代表者 |
千田 稔 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (20079403)
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研究分担者 |
和田 〓 京都教育大学, 教育学部, 教授 (30025069)
渡邊 欣雄 東京都立大学, 人文学部, 教授 (90103209)
諏訪 春雄 学習院大学, 文学部, 教授 (60082921)
上野 和男 国立歴史民俗博物館, 民俗研究部, 教授 (80062008)
大塚 和義 国立民族学博物館, 民族文化研究部, 教授 (50110078)
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キーワード | 日本文化 / 南西諸島 / 農耕文化 / 風水思想 / 焼畑農業 / アイヌ文化 / 穀霊信仰 / アメノヒボコ |
研究概要 |
本年度の研究の目標は、多角的に日本文化の源流と形成をアジア各地の地域研究からとらえることであった。 一つの視点である南西諸島の研究では波照間島の家族組織と祖先祭祀を対象としてなされ、直系型家族であることが指摘された。 日本文化の源流を求める研究については、ベトナムと韓国・日本のシャーマン儀礼の類似性によって、農耕文化の伝来が信仰の体系をともなうことが明らかにした。信仰のみならず技芸もまた同様である。日本の版画、ことに浮世絵の錦絵の開発に中国の蘇州版画の影響があることも指摘された。中国の雲南省のハニ族の穀霊信仰の調査によって古代の日本文化と共通の基盤にあることが推定された。さらに稲魂・祖霊・聖樹が密接に関係して両文化に関係することも鮮明された。日本人を山との関係からとらえる試みとしては山中他界に関する現地調査がなされたが、西南中国の少数民族の他界観と関係づけるものである。また、中国・台湾・朝鮮半島に伝わる風水思想については、中国の「族譜」の分析によって風水方位の研究が実施された。 先史時代にさかのぼる研究としては、日本列島各地に分布する黒土(クロボク土)から初期段階の焼畑農業の実体を解明する研究が試みられた。住居については縄文〜弥生時代にかけての焼失住居についての復原研究やツングース系諸民族などの住居との比較考察が試みられた。こうした、北方への視点はアイヌ文化が日本文化に与えた影響という観点から江戸時代の「蝦夷趣味の流行」の実体について考察された。 日本文化の源流をたどる研究は、その渡来の問題とともに検討しなければならない。今年度はアメノヒボコの渡来と王権の成立に焦点をあてた研究がなされた。
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