研究概要 |
マイクロキャビティレーザーにおける二次のコヒーレンスすなわち強度相関の程度を知ることを本年度の目的とした。平板形マイクロキャビティレーザーにおいては、その有効モード半径よりポング光ビーム半径が小さければ単一モード動作が起き、出力揺らぎは閾値以下ではボース・アインシュタイン分布、閾値以上ではポアソン分布となると予想される。他方有効モード半径よりポンプ光ビーム半径が大きければ複数モード動作が起き、出力揺らぎは常にガウス的であると予想される。昨年度は一定入力に対して100ショットで揺らぎを調べたが、本年はディジタルオシロスコープを活用して1000ショットで揺らぎを調べ、より詳細なデータを得た。使用発光媒体は色素ローダミン6G、励起光源はパルス幅0,9nsの窒素レーザー励起色素レーザーを用いた。色素濃度5×10^<-3>mol/1の場合は、単一モードの場合はほぼ予想どうりであったが、複数モードでは閾値以下で出力零の頻度が予想以上に多く、頻度分布が双峰性となることが観測された。これは何らかの原因で双安定性が生じているものと考えられ、更に検討する必要がある。色素濃度5×10^<-4>mol/1としたときは、単一モードにおいても複数モードにおいても定性的に予想と合致する結果が得られた。なお、色素濃度が5×10^<-4>mol/1のときは5×10^<-3>mol/1のときに比較して閾値が上昇したが、同時に閾におけるlog-logプロットのジャンプは減少した。これは、通常の4準位マイクロキャビティレーザーの予想とは逆の傾向である。通常の理論にはモル濃度の影響は取り入れられてはおらず、閾値の上昇に伴ってジャンプは増大するとされる。この矛盾を解決するため、有限の原・分子濃度を考慮した速度方程式を導入し、実験結果を説明し得ることを示した。
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