研究課題/領域番号 |
09212206
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
中塚 宏樹 筑波大学, 物理工学系, 教授 (10111915)
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研究分担者 |
服部 利明 筑波大学, 物理工学系, 講師 (60202256)
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キーワード | 分子プローブ / 蛍光プローブ / マラカイトグリーン / 微視的粘性 / ガラス転移 / モード結合理論 / 動的ガラス転移 / 細胞の微視的粘性 |
研究概要 |
ガラス状態を形成する数種のモノマー及びポリマー媒質に、マラカイトグリーン色素分子を微量ドープし、そのマラカイトグリーン色素分子の蛍光寿命の測定から、ガラス形成媒質のガラス転移点近傍におけるミクロなダイナミックスを研究した。その結果測定した3種のモノマー全て、すなわち1-プロパノール、プロピレングリコール、グリセロールおよび側鎖を持たないポリマーであるポリブタジエンにおいて、通常知られている熱量的な異常を示すガラス転移点Tgの他に、それより数十度高い温度において、新たな転移点Tcが存在することが見出された。この転移点はミクロな分子運動論の立場によるモード結合理論が示唆する動的ガラス転移だと考えられる。この転移点の観測は通常のマクロな測定法ではとらえることがきわめて困難であったが、本研究における特殊な分子プローブを用いたミクロな鎖を持つポリマー媒質、すなわちポリビニルアセテート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリエ-トではガラス転移点以下でも凍結されない側鎖基回転運動に隠されて動的転移点での異常は確認されなかったが、熱量的なガラス転移点Tgより低い温度において側鎖基の回転運動に帰因と考えられる異常が認められた。 さらにまた、マラカイトグリーン色素分子を生体細胞にドープし、レーザービームを光学顕微鏡で各細胞の任意の位置に照射することにより、その蛍光寿命から、個々の細胞の微視的な粘性の測定を行うことができることを示した。
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