研究課題/領域番号 |
09215219
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
小澤 正邦 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (30252315)
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研究分担者 |
鈴木 傑 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (50024287)
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キーワード | 固体イオニクス / 内部摩擦 / 酸化ジルコニウム / ペロブスカイト / 酸素欠陥 / 緩和 / 活性化エンタルピー / イオン伝導 |
研究概要 |
酸化物イオン伝導体やプロトン伝導体の多くは、結晶構造中に比較的多量の酸素欠陥を含んでいる。酸素欠陥の導入によって格子内の原子・イオンの拡散が促進され、イオン伝導性の向上につながると言われている。内部摩擦測定は、結晶の電子電導性の有無ににかかわらず、物質内のイオンや欠陥のサイト間緩和について緩和時間と活性化エネルギーを測定することができる。この方法によって、格子内のイオン伝導にかかわる原子・点欠陥の運動を調べることは、電場下でのイオンの運動を制御するための指針を得るために重要な基礎的な情報を与える。本研究の成果として、まず内部摩擦測定法のうち数百kHzの測定に適する複合圧電振動子法を検討しこれを比較的小さいサイズの固体イオニクス材料に適用し測定法を確立した。次に、層状物質の(2次元面内で移動する)酸素欠陥緩和の研究のモデル物質としてYBa_2Cu_3O_<7-x>ならびにRBa_2Cu_3O_<7-x>(Rは希土類元素)を使って内部摩擦測定を行いサイト間緩和の速度(緩和時間)を調べ、緩和時間と活性化エンタルピーを測定できた。さらに、実用性の高いZrO_<2->Y_2O_3系固溶体の多結晶ならびに単結晶材料に内部摩擦測定を適用し、酸素欠陥量と方位の異なる場合の疑弾性緩和の観測を行った。3次元空間を移動する酸素欠陥のサイト間緩和について、その結晶方位依存性をまず議論するとともに結晶内の点欠陥量の増大によるイオン移動度の向上効果に結びつく因子を推察した。
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