研究概要 |
グラファイトの劈開面に鎖状・平面性の有機物を蒸着すると、分子が炭素骨格平面を下地に平行にして配列した単分子層(厚さ4A)が得られる場合があるが、これは室温にすると分子の脱離や配列の乱れを起こす不安定な素構造である。本課題は、単分子層に化学的分子操作(表面トポケミカル反応(STR)・表面自己組織化(SSA)を施すことにより分子を新たな共有結合・水素結合で結び付けて単分子層を単原子層(超構造)に変換し、さらに単原子層の積層により原子レベルで厚さを制御可能な層状有機新物質(高次超構造)を構築する方法を開拓することを目的とし、素構造・超構造の評価を行った。 1.17,19-hexatriacontadyine(HTDY)単分子層のSTRにより帯状巨大分子(atomic sash)の単分子層とその積層膜を形成し、ペニングイオンか電子分光、紫外光電子分光、走査トンネル顕微鏡(STM)を併用して次のことを明らかにした。HTDY単分子層では、分子が基板に平らな配向で並んだカラムが2次元的に充填する。ここに紫外線を照射すると各カラムでSTRが起こり、分子は平らな配向を保持したままatomic sashに変換される。atomic sash単分子層の上に蒸着したHTDYも平らに配向して単分子層を形成し、STRにより1層目と同様のatomic sashを生じる。この操作の繰り返しによりatomic sash単分子層の積層でき、総体的には、atomic sash積層膜は均一に厚くなり、ほぼ単層成長をする。 2.4,4^1-[1,4-phenylenethynylene]di(benzamide)(PDB)の蒸着単分子層の構造をSTMにより検討した結果、分子がSSAにより水素結合で結び付けられてテープ状超構造(atomic tape)を形成し、atomic tapeが下地に平行な配向で配列していることが確かめられた。
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