数年前に我々が提案した、高スピンポリニトロキシドラジカルと遷移金属イオンの自己集合組織化現象を用いた分子磁性体の構築方法を用いて構築した三次元分子磁石の磁気構造の解明を行った。 三次元磁性体(T_c=46K)はニトロキシドラジカルとマンガンイオンが一次元鎖を作り、更に一次元鎖間をマンガンイオンで橋掛けした、Crossed-Parallel構造を持っている。 常磁性領域の磁化率を、分子場近似を用いた式でシュミレーションを行い、鎖内強磁性相互作用、鎖間強磁性相互作用を見積もった。 常磁性領域の磁性解析の結果、この三次元分子磁石は化学構造は三次元的であるのに対し、磁気的には一次元性が強いことが明らかになった。すなわち、一次元鎖内の相互作用は強く相互作用しているのに対し、鎖間相互作用は非常に弱いことが明らかとなった。また磁気異方性についても明らかにすることができた。
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