研究概要 |
金属触媒に微量の別種の金属を加えると、著しく触媒作用が改善される現象が数多く知られている。実用触媒ではこのような促進剤の機能は極めて重要であるが、通常その促進機構や機能は明らかでない。従って添加剤を片っ端から加えて効果を調べるのが従来の触媒開発の一般的な戦術である。これに対して、本研究はバイメタル或いは合金表面の触媒作用に見られる促進作用を原子レベルで明かにすることを目的としている。 本研究ではPt-Rh合金、RhをPt単結晶表面に析出させたバイメタル表面およびPtをRh単結晶表面に析出させたバイメタル表面を用いて、触媒作用に対する促進効果を言葉で言い換えるのではなく促進機構をアトムレベルで明かにすることに成功した。その結果は、これまでに我々が主張してきた金属表面の化学反応による「Chemical Reconstruction」によって新しい活性構造を持つ表面が生成し触媒作用を促進することが分かった。本研究ではPt-Rh(100)合金,Pt/Rh(100),Rh/Pt(100),Pt/Rh(110),Rh/Pt(110)のバイメタル単結晶表面について実験が行われ、Pt-Rh(100)合金表面に新しく創成された活性表面の構造を走査型トンネル顕微鏡(STM)により明らかにした。
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