研究概要 |
これまでに、遷移金属上でのCOの脱離、反応に注目し、反応種を限定してその反応性を検討してきた。特に、脱離反応では均一な表面場での反応記述に加え、気相から飛来してくる分子と吸着分子との相互作用による局所的な吸着種間相互作用が反応を支配していることを明かにしてきた。またPt(111)上でのCOの酸化反応では、吸着酸素原子が吸着安定サイトから拡散障壁を越えて動き出すことをきっかけにCO_2への酸化反応が効率よく進行することを明かにしてきた。平成9年度はこれまでの総括を行なうと同時に、遷移金属を対象に、表面吸着系の電子状態に関する検討を行なった。Pd(110)表面を対象に、物理吸着系のXe,CH_4と化学吸着系のCO,N_2,ベンゼンなどの吸着電子状態を光電子分光法で検討した。吸着分子と金属との相互作用により生じる状態をよりはっきりと観測するため、Pd金属による吸収が極小となるク-パ-ミニマムにあたる波長(〜130eV)の光源を用いた。その結果、化学吸着したCOとPd表面とで新たな配位結合が形成され、CO分子の2π軌道の占有準位が明確に観測された。
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