研究課題/領域番号 |
09220102
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
田中 博 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60155158)
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研究分担者 |
鈴木 泰博 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (50292983)
奥山 文雄 鈴鹿医療科学技術大学, 医療画像情報学研究科, 助教授 (70134690)
仲村 洋之 日本大学, 医学部, 講師 (50189057)
青木 隆夫 日本大学, 工学部, 講師 (00101113)
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キーワード | VR / 3次元立体視 / 奥行き知覚 |
研究概要 |
視覚機能は人間の感覚機構の中で最も精巧でかつ複雑な機構であると同時に、人間の認知機能と運動機能との掛け橋となるもので、未だに部分的にしか解明されていない。人間の視覚機能は、2.5次元の感覚情報から3次元の情報に再構成するとともに、その3次元の物体の構造の意味論的構造も推測することが可能である。本研究の目的は、Poggioの[視覚は逆問題である]という仮説の下に、視覚が限定された情報から大局的な情報を推測するシステムだと仮定し、既存のVR装置とアイマークリコーダとを用いて、視覚の認知機構を解明する方法を開発するとともに、視覚による認知と運動機構との関係を解明する手法を開発する。 主に奥行きの知覚過程を明らかにするために大きく4つの測定系を構築した。(1)情報の無い場合の眼球運動:これからの測定の基礎となるもので、奥行き情報の無い画像にたいする眼球運動の軌跡を測定・評価する。(2)実対象の直接提示:奥行きのある実対象を直接示し、認知するまでの眼球運動の軌跡を測定・評価する。(3)実対象の間接提示:(2)と同様の実対象をステレオ・カメラおよびHMDを通して示し、認知するまでの眼球運動の軌跡を測定・評価する。(4)CGによるVR提示:3D・CGにより仮想の対象を作製し、HMDにより提示し、認知するまでの眼球運動の軌跡を測定・評価する。 実際の対象として、立方体、四角錐、楔形(底辺はそれぞれ120mm)の対象(図2)を用意し、対象の一つをランダム順に被験者に2秒間提示し(600mm前方)、判断させる試行を行なった。測定項目は、判断までの眼球運動である。眼球運動はナック社製のEMR600型を中心に使用し、600Hzで両眼の眼球運動を測定を行なった。データ収集後眼球運動の分布を求めると共に、両眼の輻輳角より、空間内の注視点座標を算出した。 その結果、人間が立体を認識する場合、対象全体をスキャンするのではなく、特徴的な部分に集中して注視して行く事が判明した。 今後は、CGによるVR表示などを含め、対象の表面処理、サイズを検討すると共に、判定までの過程をより明確にして行きたい。さらに、VR装置の評価、人間の認知-運動系の評価研究に発展して行きたい。
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