機械系が複雑化し、人間の生活に深く入り込むと人間と機械の間で様々な衝突が生じ、それらが原因となって機械の誤動作や事故にいたる危険性がある。これらを未然に防ぐため、機械が相手(操作者である人間)との相互関係を認識、考慮しながら、積極的に相手に同調、適応し、仕事の目的や状況に応じて、操作者を個人別に適応的に支援する「人に優しい」適応支援システムを実現する必要がある。平成9年度は個人別の対応が十分に可能となるように、オペレータの技能を自動的に評価し、技能レベルを分類する分類機能を実現した。このオペレータの技能レベルの分類結果に基づき、技能レベルに応じた感覚提示を行う適応支援システムを構築した。提案する適応支援インターフェイスは仮想空間を利用したラフテレンクレーン操縦システム(平成8年度に開発)に組み込み、複数の被験者に対して実験を行った。ラフテレンクレーンは優れた作業性と機動性を持つため、近年の建設現場などにおいてはさかんに用いられている。しかし、ラフテレンクレーンの作業は操作装置の複雑さや吊り荷の制御の困難さという問題のために非常に難しい。このため、安全かつ効率のよい作業のためには高い操作技術を持つオペレータが必要とされてきた。そこで、オペレータの操作技術を補って作業性を向上させることができるように、クレーンシステムのインターフェイス部分に提案した適応支援インターフェイスを組み込み、オペレータの操作を支援して、オペレータの負担を軽減することを目標とした。本研究ではラフテレンクレーンにおける吊り荷の振れ止め作業に着目し、オペレータの操作技術のレベルに応じて、システムがオペレータに対する操作支援量を変化させる手法を提案した。そして、仮想空間に構築したVRシミュレータを用いて、操作実験を行い、技能が向上することを確認した。
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