研究概要 |
前年度の重点領域研究では,実環境に配置された視覚を持つ多数のエージェントにより,移動ロボットや人間の行動を支援する分散視覚のコンセプトを提案した.また,屋外環境の精密な模型を用いて実際に分散視覚システムを構築し,移動ロボットの誘導実験を行った. この分散視覚は主に次の3つの特徴をもつ. 1.環境に配置された多数の視覚エージェントにより,自律ロボットでは解決が困難である注意制御の問題を,視覚エージェントの選択という方法で解く. 2.環境内で起こる事象のモデルを複数の視覚エージェントにより分散して獲得,管理する. 3.コンピュータネットワークによる通信と共通事象の観測という2系統の通信により,エージェントを組織化する. 本年度では.前年度の移動ロボットの誘導実験の経験を基に,上記の分散視覚のコンセプトを具体的な技術に反映させるためのさらなる研究行った.特に,視覚エージェントによる動的環境モデルの獲得と管理に関して,分散視覚特有の技術を確立することを目指して研究した.分散視覚システムでは,視覚エージェントが環境に固定されているため,画像処理によって動的な事象を容易に検出することができ,個々の視覚エージェントによって検出された移動物体に関する情報は,計算機ネットワークにより互いに交換され,動的環境モデルとして複数の視覚エージェントによって記憶される.
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