本研究の目的は、生体の網膜の機能と構造をとりえれたアナログMOS集積回路(ビジョンシップ)を製作し、これをロボットビジョン等に応用するための基礎データを収集することである。昨年度までの研究により、1次元100画素のアナログビジョンチップを製作しているが、その性能テストは全く行なわれていなかった。本年度は、このビジョンチップの性能テストのための周辺電子回路の製作を行ない、これを用いてチップの性能テストを行なった。、またそのチップに、光応答感度の自動調節機能を付加し、実画像の処理を行なった。 1。1次元100画素のアナログビジョンチップが、網膜双極細胞の受容野と同様のラプラシアンガウシアン型の空間フィルタとなっていることを確認した。チップには、アナログ集積回路特有のトランジスタ素子の性能のバラツキによるノイズを補償するための補償回路が組み込まれていた。この回路をテストし、これが予想どおり動作していることも確認できた。本結果から、チップが実際にロボットビジョン等への応用できることが実証された。 2。チップを自然照明下での画像処理に応用するために、光応答感度が自動的に調節できる機能を負荷した。この自動調節は、チップの出力を外づけ制御回路によりフィードバックすることにより実現される。実験の結果、平均照度2log程度の範囲において、有効に応答感度調節が動作することを確認した。 3。以上のテストデータを収集した上で、チップを用いて画像のエッジを実時間で抽出する視覚システムを構築し、自然照明下で、十分動作することを確認した。
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