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1997 年度 実績報告書

超塑性を示す超微細結晶粒材料の粒界原子構造と電子構造の研究

研究課題

研究課題/領域番号 09228207
研究機関東京大学

研究代表者

市野瀬 英喜  東京大学, 工学系研究科, 助教授 (30159842)

研究分担者 宮沢 薫一  東京大学, 工学系研究科, 講師 (60182010)
伊藤 邦夫  東京大学, 工学系研究科, 教授 (20010803)
キーワード超塑性 / ダイヤモンド / 電子顕微鏡 / カーボンナノチューブ / コルゲーション / 結合角 / ナノマシン / π電子
研究概要

材料特性と原子構造を結びつけるものは、電子構造に他ならないとの確信に基づき、超塑性現象を熱力学を媒介としたマクロな物質移動で説明するのではなく、電子構造との相関において理解し、新たな展開を求めようとした。
具体的には、最も超塑性とは緑の遠いダイヤモンドについて、これを弾性変形せしめ、さらには、塑性変形することを試みた。変形に成功すれば、通常材料における超塑性を凌駕する。ダイヤモンド粒界で見いだされた。ダングリングボンド(2p軌道)からπ軌道への遷移が基本的指針である。すなわち、ダイヤモンドの極薄板を作り、これを積層すれば各層がπ結合で緩やかに結ばれた、史上最も頑丈で変形能に優れた材料ができあがる。変形可能なほどに薄いダイヤモンドの薄板を作ることは、常識的には極めて困難であるが、究極の薄板である1原子面のものなら、多層構造のカーボンナノチュウブがこれに当たる。そこでまず多層ナノチュウブを作製し、これを電子顕微鏡中で変形する事を試みた。
変形実験は見事に成功し、ダイヤモンド(炭素結晶)といえども、弾性変形及び塑性変形が可能であることが示された。この実験の中で、(1)炭素原子の結合角が理論的予測よりやや緩やかであること、(2)塑性変形に当たっては通常のバルク材料のように、転位の移動によらないこと、(3)変形を担うのはコルゲーション化現象であり、(4)コルゲーションの形成に当たっては、局所的な結合様式の変化が、これを可能なら締めていること、などが明らかになった。この成功は、極微細構造を持つ機械「ナノマシン」への扉を開くものと確信する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] H.Ichinose, Y.Zhang 他3: "Application of spatially resolved EELS on atomic structure determination of diamond grain boundary" MRS symp.proc. 466. 273-278 (1997)

  • [文献書誌] T.Kizuka, H.Ichinose 他1: "Structure and hardness of nanocrystalline silver" J.Materials Sci.32. 1051-1057 (1997)

  • [文献書誌] Y.Yamada, H.Ichinose 他3: "sp2-sp3 transition in boron nitraide films deposited bias suptering" MRS symp Proc.466. 273-278 (1997)

  • [文献書誌] M.koyama, H.Ichinose 他3: "Tight-binding calculation of the (211) Σ3 boundary in diamond" Interface science. 32E. 159-167 (1997)

  • [文献書誌] Y.Yamada, HiIchinose 他2: "Rhombohedral to cubic phase evaluation in boron nitride films grown from vapor phase" Applied Physics letters. (発売予定). (1998)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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