研究概要 |
溶融アルミニウム合金を大気中で強撹拌することにより微細な酸化物を生成・分散させる溶湯撹拌酸化法により、酸化物粒子分散Al基超塑性材料の製造を試みた。Ca,Mgといった溶融Alの表面張力低下・酸化促進元素を添加したAl合金の場合には、溶湯撹拌酸化法により酸化物粒子を最大10vol%含む粒子分散複合材が溶湯から製造できることが明らかとなった。しかし今回の方法では、生成する酸化物が粗大であり(粒径1〜2μm)フィルム状の望ましくない酸化物も含まれること、マトリクスの結晶粒微細化が不十分であったことなどにより、得られた材料は期待した超塑性挙動を示さなかった。 一方、圧延を利用したバルク強ひずみ加工プロセスである繰り返し重ね接合圧延(ARB)を考案し、2種のAl合金(1100,5083)に適用した。ARBとは、圧延されて厚みの薄くなった材料を長手方向に切断後積層し、もとの厚さにした上で接合圧延を繰り返す方法である。ARBによりサブミクロン粒径を持つバルク材料が得られ、それらは室温において驚異的な引張強度(出発材の2〜3倍)を示した。また、ARBにより微細化された5083合金は、200℃という低温で超塑性挙動を示した。
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