(1)昨年度までのアニリンをテンプレートとした合成実験では、合成条件によって層間にインターカレーションされるアニリン量は変化させることができたが、ピラ-となるフェニルホスホン酸の量は変化させることはできなかった。本年度行ったアニリンを添加しない合成実験における生成物の層間距離は14.7≠ナ、アニリンを添加した場合の生成物の層間距離である19≠謔闥Zかった。しかし、層間のフェニルホスホン酸の量は合成条件に対応して、0.7から1.6まで変化した。また、比表面積はアニリンを添加した場合の30m^2/g程度と比較して50〜100m^2/gと大きな値を示した。 (2)ペロブスカイト型BaBiO_3の焼結体をKOH水溶液中で水熱処理した場合、表面に形成されるパイロクロア型相の量は時間に依存していた。同様にパイロクロア型化合物のK^+イオンのプロトンとのイオン交換も時間に依存し、反応時間が24時間の場合にはK^+イオンの約半分がイオン交換していた。水熱処理およびイオン交換処理とも24時間行った試料ではXMAの組成分析より、表面から約50μmは主にプロトンでイオン交換されたパイロクロア型相で、それより約150μmの範囲においてパイロクロア型相とペロブスカイト型相が混在していた。このように表面からプロトン、カリウム、バリウムを含む相へと傾斜化したビスマス酸化物の複合体が得られ、この複合体のイオン交換およびガス吸着特性を調べるとともに触媒などへの応用を検討していく予定である。
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