研究課題/領域番号 |
09229229
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
高木 克彦 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (60023264)
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研究分担者 |
志知 哲也 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (90293654)
菊田 浩一 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (00214742)
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キーワード | カチオン交換粘土 / インターカレーション / カチオンスピロピラン / 傾斜吸着性 / イオン交換容量 / 双生イオン / 分子集合体 / 自己集合 |
研究概要 |
1 緒言 粘土層間に有機イオン種のインターカレーションでは、一般には交換容量(CEC)以上では、静電吸着は起こらないか、起こっても定量的でない。本研究は、粘土層間内で有機ゲスト分子の会合体を形成させることによって、CEC以上でもゲスト分子数が連続的かつ定量的に吸着させることの可能性について検討した。 2 実験方法 CEC以上のゲスト分子吸着量の傾斜性の発現が期待できるゲスト分子としてイオン性置換基としてピリジニウム基を導入したスピロピラン(8-SP0101_+および6-SP0101_+)を用いた。これらイオン性スピロピランはいずれも極性溶媒中で、双生イオン構造のメロシアニン(MC)に変化する。。カチオン交換粘土(クニピアF;クニミネ工業製、カチオン交換容量119meq/100g)の水分散液(5meq/I)に交換容量基準で1%から400%の8-SP0101_+および6-SP0101_+水溶液を加え、一夜室温で撹拌して吸着させた。得られた懸濁液をメンブランフィルターで濾過し、濾液の吸収スペクトルのある波長での吸光度より吸着量を求めた。スピロピランを吸着させた後、得られた層間化合物の粉末はX線回折法(理学電機、形式RINT2000)により層間距離を測定した。 3 結果と考察 CECに対し上記6-および8-SP0101_+を1%から400%まで変化させて加えると、いずれもCECに対し100%まではほぼ定量的に吸着し、さらに100%を越えてもなお定量的な吸着が観察された。1%と400%の吸収スペクトルを比較すると、1%では見られない550nmの吸収が400%吸着物でははっきりと確認できた。この吸収は、メロシアニン構造のJ会合体の吸収であると結論された。また、XRD測定の結果、吸着によって400%では1%より2Åほど層間距離が広がっていることが確かめられた。これらの結果から、CECに対し100%までは他の有機ゲスト分子と同様に静電的な吸着によって定量的に吸着し、また100%以上ではメロシアニンの双生イオンが互いに静電的に会合し、自己集合化したJ会合体の形成によって定量的な傾斜吸着が起こっていることが判明した。この会合化は、イオン性置換基の位置が異なる8-SP0101_+では認められなかった。
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