研究課題/領域番号 |
09229239
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡崎 正之 大阪大学, 歯学部, 助教授 (30107073)
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研究分担者 |
前田 芳信 大阪大学, 歯学部, 教授 (10144510)
平 雅之 大阪大学, 歯学部, 助手 (60179398)
寺岡 文雄 大阪大学, 歯学部, 助手 (00099805)
荘村 泰治 大阪大学, 歯学部, 講師 (10154692)
高橋 純造 大阪大学, 歯学部, 教授 (80029149)
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キーワード | アパタイト / 傾斜機能性 / 合成設計 / 生体材料 |
研究概要 |
自然界や生体内でのアパタイトの結晶成長を探求していくと、不均質な現象に気づくことが少なくない。我々は、このような不均質系(heterogeneous)アパタイト生成のメカニズムを物理化学的立場から探求しようと研究を進めている。前年度までの研究では、独自に考案した2ステップ方式による合成法を採用し、2層あるいは多層構造を有する2種類のフッ素化アパタイト(H-FAp,F-HAp)の生成していることを確認した。本年度は、結晶内に傾斜性を有するBoundary-lessフッ素化アパタイト(FGFAp)の合成手法を検討した。FGFApのX線回折パターンは、典型的なアパタイティックパターンを呈したが、均質系のフルオロアパタイトに比べて結晶性は少し悪いように思われた。備品の顕微鏡カラーテレビ装置や走査型電子顕微鏡(SEM)による観察では、結晶はc軸方向によく発達し、比較的フルオロアパタイトに近い六角柱状に類似した結晶形状を示した。ESCAによる表層分析を試みたところ、各結晶の平均化したデータとは言え、結晶表面から内層に向かって負のF濃度勾配が観察され、結晶内の傾斜性が示唆された。FGFApの溶解度は、HApに比べて非常に抑制されていたが、FApに比べると少し高かった。また、以前の二層構造アパタイトH-FApに比べてかなり低かった。これは、う蝕予防(溶解抑制)の観点からすると好都合である。今後は、このシステムを発展させることにより内部は安定な、外部は骨とよく馴染む代謝性を有するハイブリッド型生体材料への応用研究にも着手して行く予定である。
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