仮想環境のモデル、仮想空間におけるオブジェクト定義、地理情報処理への応用という三つの側面で、環境と統合された高レベルビュー技術の研究を行った。 〔仮想環境のモデル開発〕データベース、ハイパーメディア、CSCW技術を有機的に組み合わせ、コンピュータ内に仮想的な空間を作り出すためのモデルを開発した。仮想環境では仕事内容や利用者の都合で柔軟に環境を切り替えることが可能である。データベースのビューは、このような側面を支援する基本的な枠組みとして利用可能である。ビュー概念の拡張により仮想環境のモデル化するには、ビュー(環境)のオブジェクト(メディアや利用者)に対する影響だけでなく、その逆の影響を考慮しなければならない。また、動的な環境の変化、複数利用者の権利の衝突について検討を行った。 〔仮想空間におけるオブジェクト定義〕仮想空間環境では、実世界における方向や位置に概念はそのままでは適用できない。これは仮想空間の一つの特徴であるが、利用者側からは直感的に理解できない恐れがある。そこで、実世界におけるこれらの概念を仮想空間に自動的にマッピングする機構について検討した。まず、仮想空間におけるオブジェクトの定義手法について提案し、本手法に基づいた方向および位置定義に手法について検討を行っている。 〔地理情報処理システム〕現在の地理情報システムは、予め地図を画像情報として保存し、用途に応じて縮尺を選択する方式か、レイヤーの重ね合わせにより目的の地図を作成する方式が一般的であった。これでは、全ての利用者にとって汎用な地理情報システとムは言えない。そこで、各地理実体をオブジェクトとして個別に管理する地理情報データベースシステムについて検討を行った。利用者の用途により地理実体を選択し、地図の範囲や利用者の関心度などに応じて地理実体の表現を決定する動的地図作成システムのプロトタイプを構築した。
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