研究課題/領域番号 |
09231235
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
長尾 善光 徳島大学, 薬学部, 教授 (40027074)
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研究分担者 |
佐野 茂樹 徳島大学, 薬学部, 助教授 (20226038)
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キーワード | 潜在的活性種 / デヒドロペプチダーゼ / カルバペネム / 抗生物質 / ビアペネム / ビシクロトリアゾリウム / 反応カスケード / 非結合性相互作用 |
研究概要 |
われわれは最近の数年間、“潜在的活性種"の有効利用という概念に従って多種多様の新反応の開発研究を実施展開している。平成8年度本重点領域研究では、反応系中での反応カスケードによって生成した共役アレニルエステル体や三重結合の異性化によって生成した共役アレニルケトン体を利用して、カテプシンL、Bの特異的阻害剤開発へのリ-ド化合物の合成や各種分子内炭素環状エンドモード環化反応、複素環状エンドモード環化反応等の開発を達成した。本年度は、独自に開発した反応カスケードを利用して強力な抗菌活性と人腎臓デヒドロペプチダーゼIに対して極めて安定な非天然型1β-メチルカルバペネム抗生物質ビアペネムのペンダント分子であるメルカプトビシクロトリアゾリウムクロリドの実用的合成法を確立し、更に簡便なビアペネムの合成法を達成した。その鍵反応ともいえる反応カスケードとは、ピラゾリジン誘導体を炭酸水素カリウム水溶液中エチルホルムイミデ-トと処理すると一挙に数行程の反応が進行し目的のビシクロトリアゾリウムジスルフィド体が生成する反応である。強力な抗菌活性を有するビアペネムの結晶化に成功したのでX線結晶解析に付したところ、その分子構造が明らかとなり興味ある物性が示唆された。即ち、カルボキシレート酸素原子とペンダント分子の硫黄原子間に分子内非結合性相互作用が認められ、更にトリアゾリウム部位の2つの水素原子は用意に重水素交換されるほどかなり酸性であり結晶状態ではあるが分子間水素結合に関与していること等が明らかとなった。
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