抗腫瘍性マクロリド・アクチフィシンのキラルオキサザボロリシツン不斉アルドール反応を連続使用する不斉合成が進展した。必要な大手の不斉点がその不斉アルドール反応によって導入された。しかしながら、第3段階での不斉アルドール反応で生じる不斉点の一つが天然物とは逆であることが、高分解能NMRの解析から明らかとなった。このプロピオネート型アルドール反応は、通常のアルデヒドでは、anti体と優先的に与えることが知られている。しかしながら、新しいモデル反応を検討したところ、アルデヒドのカルボニルが4級炭素に隣接する場合、完全に逆のSyn体が得られることが判明し、上記の反応のミスの原因が明らかとなった。 これを基に、第3段階不斉アルドール反応を詳細に検討した結果、キラルオキサザボロリジノン不斉アルドール反応による鎖式立体制御に関する限界を明確にすることができた。すなはち、Catalyst Control と基質Control のマッチングおよびミスマッチングの機構の解明である。正しい立体化学を持つアクチフィシンの合成に別ルートから挑戦している。
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