研究課題/領域番号 |
09232231
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長谷川 博一 京都大学, 工学研究科, 助教授 (60127123)
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研究分担者 |
橋本 竹治 京都大学, 工学研究科, 教授 (20026230)
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キーワード | ブロック共重合体 / ミクロドメイン構造 / ミクロ相分離 / ABCトリブロックコポリマー / 電子顕微鏡 / 小角中性子散乱 / 2段階相転移 |
研究概要 |
本研究は、ABC3成分トリブロックコポリマーのシーケンス(ブロックの結合順)がその相挙動や構造、物性に及ぼす影響を追究するとともに、3成分系の特徴ともいえる2段階相転移による新規なナノパターンを有するミクロドメイン構造の創製を目的とし、平成9年度は以下の研究成果があった:等組成のABCトリブロックコポリマーについて、シーケンスだけを変えた場合にも、そのミクロドメイン構造のナノパターンが大きく変化し、平衡状態のミクロドメイン構造がシーケンスに大きく依存することが明らかとなった。また、非等組成のABCトリブロックコポリマーについて、選択溶媒を用いて溶液キャストしたフイルムのナノ構造を電子顕微鏡観察(TEM)および小角X線散乱(SAXS)解析した結果、2段階相転移による新規ナノ構造、すなわち3成分が複雑に入り組んで共にネットワークを形成する3相共連続構造を創出することができた。また、可逆的な2段階目のミクロ相分転移を観察するためには、温度および圧力変化により相転移をする2成分とこれらと非相溶な1成分からなるABCトリブロックコポリマーを用いなければならないが、そのための基礎データ収集を行った。その結果、高圧下で下限臨界共溶温度(LCST)と上限臨界共溶温度(UCST)の存在を示唆する高分子系を発見した。さらに、3成分が一点で結合したABCスターブロックコポリマーが形成するミクロドメイン構造をTEMおよびSAXSにより研究し、幾何学的にも全く新しい3相共連続構造が形成されていることを見いだした。
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