研究概要 |
本研究の当初の目的は光学活性なbinaphthole基を有するSm(III)錯体またはCp環に光学活性なメンチル基またはネオメンチル基を有するSm(III)錯体を合成し,プロキラールなトリチルメタクリレートの重合を行い(R)または(S)体のポリマーを得る不斉重合を行うことにあった。しかし実際に重合を行ってみるといずれの触媒を用いても3-4量体しか生成せず,ヘリックスを巻けないので不斉重合は実現できなかった。 そこで平成9年度途中で研究テーマの大幅な見直しを行い「光学活性環状カーボネートの共重合と得られたポリマーの生分解性」ということに変更した。まず(R)-1-メチルトリメチレンカーボネートの重合を行ってみたが,得られたポリマーはフィルム形成能がなく実用的な面で問題があった。しかしこのモノマーとカプロラクトンとの共重合体(7:3-8:2)はフィルム形成能もあり,新しい生分解性ポリマーとして期待できる。また1-メチルトリメチレンカーボネートのラセミ体共重合体の生分解性についても検討したが,(R)-体と類似した挙動を示した。さらに(R,R)-1,3-ジメチルトリメチレンカーボネートとカプロラクトンとの共重合体および(S,S)-1,3-ジメチルトリメチレンカーボネートの共重合体についても検討を加えた結果,いずれも酵素分解をするが,1-メチルトリメチレンカーボネート共重合体に比べると生分解性は低下した。
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