研究概要 |
本年度は2つのテーマ即ち(1)GaAs基板表面に形成されたInAs量子ドットのファセット面の構造、(2)高面指数Si(113)基板上におけるGeのヘテロエピタキシ-及びサーファクタント原子AsとGaの役割について検討した。即ち(1)については通常のMBE成長条件でGaAs(001)にInAsを1.6-3ML蒸着することにより、量子ドット(3Dアイランド)が形成され、その形状、サイズ、統計的分布、構造等を研究した。その結果これら3Dアイランドは典型的なピラミッド/帽子型外形をとり、ファセット面は(114)及び(113)が主要なものであった。我々は原子スケールの分解能を有するSTM像で、これらInAsドットのファセット面を観察して、原子構造モデルを提案した。これは表面エネルギー計算、ドット形成機構、自己組織化プロセス等を解明する上で有用なものとなろう。(2)のGe/Si(113)へテロエピタキシ-については、臨界厚さ3MLとするStranski-Krastanovモデルに従って結晶成長すること、他方得られたアイランドは平板状で[3,3,-2]方向に伸びるという特徴も存在した。これは非対称性誘起の成長不安定性によると判断した。GaAs(001)にAs或いはGaを吸着させると、As-6x2或いはGa-3x3の新しい表面誘起構造が出現する。これらの構造モデルについては既に提案している。重要なことはAsやGaを吸着させるとStranski-Krastanov成長からlayer-by-layer成長に変化すること、即ちサーファクタントの役割をになっていることを見い出した点である。
|