既存の60m^<>水槽の内部に可とう膜袋を設置して平成9年7月12日40m^3注水し、その後の経過を観察した。注水開始後216日経過した時点で水位低下は1cmである。これは当初水量の0.5%(約200l)に相当する。この減水は蒸発によるものと推定される。したがって、可とう膜袋による防水性能は実物大のスケールで確認された。途中経過は平成9年11月の第2回都市直下地震災害総合シンポジウムで発表した。1年間の観察の後に最終結果を報告する予定である。 使用水槽は地下埋設型で、観測者の出入口は2ケ所の標準型マンホールのみである。観測は1つのマンホール直下に囲いを作って行った。この水槽は借用品で、返還時には復旧の必要があるので、工事を必要最低限度とした。このため、可とう膜袋は上面解放型として水槽壁面に取り付けたレールによって吊るしてある。漏水は膜袋外部の水槽底のピットに水中ポンプを設置して排水量を調べた。漏水は、可とう膜袋内の貯水からではなく、膜袋外の水槽壁を通じて外部の土中からしみ出してくるものであった。 観測期間中震度1の地震を経験したが、もちろん水槽に異常はなかった。しかし、これをもって耐震性を議論することはできない。阪神・淡路大震災のときに、激震地に設置されていた同種水槽が被害を受けなかったことから、耐震性の傍証としたい。
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