研究は、主として、データベースの集積と分析及び耐震性向上対策の提案に分けて実施した。 1.データベースの集積と分析;1995年1月の兵庫県南部地震における神戸市と近郊の生産施設の被害データを可能な限り集積した。研究代表者らが中心となって実施した、日本機械学会、エンジニアリング振興協会、ボイラ協会、クレーン協会等での被害調査等を参考にして、工作機械、クレーン、エレベータ、配管、タンク、ボイラ、ポンプ等多種の装置や設備毎に、被害要因をモード毎に分析した。その結果、被害要因は、(1)慣性力(動的荷重)、(2)相対変位、(3)液状化、側方流動及び(4)スロッシングの4種に分けられることを示し、各機械設備等について被害モードを分析した。 2.耐震性向上対策の提案;分析した都市生産設備毎の被害モードと損傷要因をもとにして、耐震性能の評価法と向上対策について検討した。特に、多種の機械・設備を構造形態や重要度別にランク分けし、それぞれの耐震性能を提示した。例えば、工作機械等の高剛性構造物に対してはアンカボルトの強度向上や転倒対策を示し、コンテナクレーンや大形タンク等独立基礎を有する設備に対しては、基礎の輔強や液状化対策を提示した。 これらの成果をまとめ、重点領域研究総合シンポジウムで発表した。
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