平成9年度には通信システムがどれくらい被害になっているのかを定量化する研究を重点的に行った。NTTアクセス網研究所から兵庫県南部地震における地下設備の被害状況のデータを提供してもらい、地震動と地下管路の被害率の関係の分析を行った。兵庫県南部地震では神戸市内を中心に多くの強震記録が得られているが、神戸市内の観測点周囲の被害率と地震動を対応させる研究を行った。既に発表されているガス管、水道管の被害数値と対比分析したところ、管種別ごとに明確な比例関係が見出せた。その結果をもとに地震動からNTT管被害を予測する推定式を導いた。この式を将来起こるであろう地震時に用いればNTT地下設備の被害状況が即時に推定でき、通信サービスへの影響も知ることができる。電柱や通信ケーブルについても同様の研究を進める予定である。 また電話のふくそうのメカニズムについて研究事例調査を行うとともに、災害時の情報伝達システムについても調査を行った。電話のふくそうに対して平成10年3月より「災害時伝言ダイアル」サービスが始められ、災害時の輻輳緩和に役立つとされている。しかし安否確認の問題だけでなく、防災関係機関で災害時に増大する通信量を把握する必要が有り、特にコンピュータを利用した防災システムの場合は従前に比べて通信量が急増する可能性もある。次年度以降に災害時の通信需要の増大と輻輳の関係について研究を進め、これらの定量予測を行っていきたい。それとともに防災関連機関共同で利用する「災害情報ハイウェイ」の研究を行い、災害時に使えるシステムを提案していきたい。
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