本研究は、炭素材料表面に担持された白金超微粒子触媒の諸特性の発現要因を、平坦な炭素担体を用いるモデル法により解明することを目的としており、下記の成果を得た。 1、サイズの揃った白金超微粒子担持電極の作製と白金超微粒子の物性把握 直径が1-10nmの白金超微粒子を、HOPG及びグラシーカーボン(GC)の表面に作製した。白金の担持は、白金エトキシドを塗布・乾燥・還元分解する方法を新たに試み、平均粒子径が2-9nmサイズ分布がシャープな白金超微粒子の合成に成功した。また、白金超微粒子のAFM像の観察にも成功した。 2、電気化学的方法による白金超微粒子の露出結晶面の推定 ギ酸酸化のサイクリックボルタモグラムのピーク電位が白金単結晶電極の結晶面に依存することを利用して、白金超微粒子の露出結晶面を推定したところ、微粒子の作製法の違いに関わらず、粒子サイズが小さくなるにつれて(110)面の割合が減少し、(100)面の割合が増加するという結果を示した。 3、白金超微粒子の電極反応挙動の検討 吸着COの酸化を示すPt/GC電極のCV測定によると、粒子サイズが小さくなると酸化開始電位が高くなった。この挙動は、粒子サイズが小さいほどCOの活性化に大きな過電圧を要することを示唆しており、白金超微粒子の電子構造に起因して、白金粒子のサイズが小さいほどCOは弱く吸着(活性化の程度が低い)し、酸化に高い過電圧を必要とすると考えられる。
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