研究課題/領域番号 |
09237257
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
岩倉 千秋 大阪府立大学, 工学部, 教授 (00029183)
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研究分担者 |
張 樹国 大阪府立大学, 工学部, 助手 (10295719)
井上 博史 大阪府立大学, 工学部, 講師 (00213174)
古川 直治 大阪府立大学, 工学部, 講師 (70081338)
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キーワード | ニッケル-水素電池 / Mg系水素吸蔵合金 / ナノ結晶 / 構造規制 / 表面解析 / ラマン分光 / 光電子分光 / 負極特性 |
研究概要 |
本研究では、メカニカルアロイングで作製したMg系水素吸蔵合金をグラファイトなどとの複合化により表面改質したときに常温での負極特性が大幅に向上した原因やメカニズムを明らかにすることを目的として、表面改質前後の微細構造や組成の変化をラマン分光法やXPSを用いて解析した。本研究により得られた知見をまとめると次のようになる。 1.ラマン分光測定の結果より、グラファイトにより表面改質したMgNiにおいては、1579cm^<-1>におけるグラファイトのE_<2g>^<(2)>に帰属されるピーク以外に1606cm^<-1>付近にショルダーが認められることがわかった。また、Mgのみをグラファイトで改質した場合にもこのショルダーが観察されたことから、ショルダーの出現はπ電子を有するグラファイトからMgNi合金表面のMgへの電荷移動に起因すると考えられる。 2.XPS測定の結果より、メカニカルアロイングにより作製したMgNi合金の表面においてMgはMgOとして存在し、Niは金属状態で存在するが、この合金ををグラファイトで表面改質すると表面のMgは金属状態に近づくのに対してNiは酸化物になることがわかった。これは、グラファイトからMgへの電荷移動によりMgと酸素の結合がより弱くなり、その結果、酸素とNiの結合がより強くなったためと考えられる。また、表面改質を行うと、MgNi合金表面における金属状NiのMgに対する組成比が増大し、これがMgNi-グラファイト複合体の水素吸蔵速度および負極特性の向上に大きく寄与していると考えられる。
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