研究課題/領域番号 |
09237261
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
酒井 秀樹 東京理科大学, 理工学部・工業化学科, 助手 (80277285)
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研究分担者 |
阿部 正彦 東京理科大学, 理工学部・工業化学科, 教授 (40089371)
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キーワード | 両親媒性分子 / ベシクル / フェロセン / アゾベンゼン / 酸化還元反応 / 相図 / 光異性化反応 / 内水相 |
研究概要 |
両親媒性分子が形成するミセル・ベシクルなどのコロイド次元分子集合体は分子レベルで構造制御された液-液界面を形成している。このような分子集合体の形成-崩壊を電気化学反応などの外部刺激により制御することは、集合体内部に内包(可溶化)された物質の徐放性の制御や、集合体内部を反応場として用いた機能性超微粒子調整などへの応用の見地から興味深い。本研究では、電気化学反応により界面化学的性質が可逆に変化するカチオン性界面活性剤をアニオン性界面活性剤と混合することにより自発ベシクルを調整し、ベシクルの形成および崩壊を電気化学反応により可逆に制御することを試みた。電気化学活性なカオチン性界面活性剤として、FTMA(11-ferrocenyl-undecyltrimethylammonium bromideを用い、これを種々の濃度・組成でアニオン性のSDBS(sodium dodecylbenzene-sulfonate)と混合し、各組成の溶液の相状態を微分干渉光学顕微鏡により観察したところ、ベシクルが自発的に形成していることがわかった。また、ベシクル分散水溶液の定電位酸化および還元を行い、酸化・還元反応に伴う相状態の変化について検討したところ、ベシクルの形成-崩壊を電気化学反応により可逆に制御できることがわかった。還元体のFTMAが酸化されてフェリシニウムイオンが生じると分子の親水性は著しく増加する。これに伴いベシクルを構成しているFTMAがバルク水中に溶出するため、ベシクルから混合ミセルなどのより小さなサイズの分子集合体への相変化が生じることが示唆された。さらに、アゾベンゼン修飾カオチン性界面活性剤とSDBSとの混合系においてもベシクルが自発的に形成し、その形成と崩壊を紫外光ならびに可視光の照射により可逆制御できることも明らかとなった。
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