種々濃度の二酸化テルル(TeO2)と硝酸カドミウム(Cd(NO3)2)を含む酸性溶液系(pH=1.2)およびアルカリ溶液系(pH=12.5)を用いて電着法によるテルル化カドミウム(CdTe)薄膜の成膜反応機構および、p-Si基板上へのヘテロエピタキシャル成長条件を検討した。その結果成膜反応機構について下記の知見をえた。(i)酸性溶液系ではTeO2の還元析出と同時にCd++のUPD析出によるCdTe生成が起こり、エピタキシャル成長を行う事が非常に困難である。(ii)アルカリ溶液系ではTeO2の還元析出電位とCd++の還元析出電位が異なりまた酸性溶液系で見られたCd++のUPD析出によるCdTe生成が認められないことからアルカリ溶液系でTeおよびCd原子層を交互に析出させCdTe薄膜のエピタキシャル成長の可能性がある。 種々濃度のTeO2(0.1-1.0mM)と0.1MCd-EDTA錯イオンを含むアルカリ溶液系を用いて光アシスト電着法によるCdTeエピタキシャル成長条件について検討し下記の知見を得た。 (i)TeO2イオンの還元析出時、成膜基板上に光照射するとCd++イオンの金属Cdへの還元が起こり、Te原子層とCd原子層の交互析出が光照射のon-offで制御可能である。 (ii)XPS測定から膜中のCd濃度は光照射時間にほぼ比例する。 (iii)PL測定から結晶性の高いCdTe薄膜に見られる励起子や浅いドナー準位などが関与した発行ピークが803nm、780nm近傍に認められた。また、これらの発行ピーク強度は基板の表面状態や光照射時間などにより著しく影響される事が判明した。
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